こんにちは! ブライダル業界特化のDX支援を行なっている、株式会社TAIANの泉崎と申します。
前回の記事では、ブライダル企業における生涯顧客化の重要性や施策の考え方を、カップルへのアンケート調査結果をもとに徹底解説しました。
今回は、自社で生涯顧客化の施策をスタートするにあたり知っておきたい“生涯顧客価値(LTV)”の高め方を、元ウェディングプランナーの目線でわかりやすく解説します!
生涯顧客価値(LTV)の考え方から知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
1.まずは生涯顧客価値(LTV)の計算方法を知ろう!
“生涯顧客価値”とは、“Lifetime Value(LTV)”という英語を訳したもので、1組のお客様が生涯でどれだけ自社の商品やサービスを購入・利用したか、を表す指標です。 LTVの計算方法はたくさんあり、業界のビジネスモデルや商材によってもさまざま。最もシンプルなものは以下の計算式です。
LTV=平均購買単価 × 平均購買回数
これをブライダル企業で考えるのであれば、
LTV=婚礼単価+(LTVアップ施策の単価×LTVアップ施策の購買回数)
と、LTV施策における指標を、1度きりの婚礼単価とは分けて考えるのが分かり易いでしょう。
つまり生涯顧客価値を上げるためには、LTVアップ施策において1組あたりの購買単価を上げる、購買回数を増やす(利用してもらう期間を延ばす)という2点を意識することが、まずは重要です。 では、具体的に解説していきます!
2.生涯顧客価値を上げるための考え方
2-1.購買単価を上げる
すでに皆さまが注力しているであろう「1組あたりの婚礼単価」の引き上げ。 しかし、コロナ前から業界の課題とされていた披露宴の親族減少傾向や、それに追い打ちをかけるようなコロナ禍の列席人数の減少により、婚礼単価の減少に頭を抱えている式場が多いでしょう。
そういった業界を取り巻く環境を考えると、婚礼自体の単価だけでなく、LTVアップ施策の商品やサービス自体の購入・利用単価を上げることが重要です。
売上アップについては、こちらの記事で詳しく解説しているので併せてチェックしてくださいね!
2-2.購買回数を増やす
売上や受注数アップは企業側の努力で何とかできたとしても、結婚式がほとんどの人にとって一生に一度のイベントであるという事実は変えられません。
だからこそ、LTVアップ施策の商品やサービスの購入・利用回数を増やすことが、安定して利益をあげ続けることに寄与します。
具体的な方法としては、
・商品・サービスのラインナップを広げる
例えば「結婚記念日」に関する施策をLTVアップのために取り入れても、利用する機会は1年に1度です。
結婚後も自社商品やサービスを購入・利用していただく回数を増やすのであれば、商品やサービスのラインナップを幅広く用意する必要があります。
まずは自会場だけでなく、自社全体として提供できる商品やサービスを洗い出し、お客様の結婚式後の人生で訪れるイベントや日常のどこに介入できるかを考えて、多方面からアプローチしましょう。
・限定感や特別感、特典を利用する
人は新しいものや旬のもの、前回と変化があるものに対して興味をもったり、ワクワクしたりします。“当式場の卒花限定”と銘打った特別な企画や特典を用意するなど、「自分たちは特別だ!」と感じてもらえるような企画を考えてみましょう。
2-3.利用期間を延ばす
挙式をされたお客様が、自社の商品やサービスを購入・利用し続ける期間を延ばすことは、安定した利益の確保につながります。
そのためには、主である結婚式の満足度が高く、式場への愛着が深い状態を作ることが大前提。
その上で、結婚式が結んだ後も継続してフォローをし続け、購入・利用の促進をする必要があります。
「もう少しで結婚記念日だけど、今年は何をしようか…」と考え始めたタイミングで、式場から結婚記念日の特別ディナーの招待がきたらどうでしょうか。記念日を最高の思い出が詰まった式場で過ごし、結婚式の日の気持ちを思い返したいご夫婦はたくさんいるはずです。
このように、その1組1組にとって最良のタイミングで、求めている案内をする。そして、それを継続していくことが重要です。
しかし、プランナー個人が、挙式をされて何年も経つお客様全員に、その方の記念日に合わせた案内をするのは難しいですよね。その場合は、施策実行をサポートするツールの活用がおすすめです。
どのようなツールがあるのか、こちらの記事で詳しくご紹介しているのでぜひチェックしてください!
3.ブライダル業界でLTVを高める為に取り組むべき、具体的施策5選
生涯顧客価値を高めるために意識すべきポイントを解説してきましたが、ブライダル業界ではどういった施策ができるのか、具体的な例を紹介します。
3-1.アニバーサリーディナーなど記念日専用プランの提案
レストランや宿泊施設を保有している会場・企業の場合、まず取り組みやすいのは記念日の利用促進です。
結婚記念日はもちろん、結婚式から〇年目の記念日、誕生日など、お祝いのディナープランや宿泊プランへの招待はリソースを活用して行うべきでしょう。
3-2.卒花向けイベントの開催
自会場で挙式を挙げたカップルだけが参加できるイベントの開催です。
1年を通して季節のイベントはたくさんありますが、夏祭りやハロウィン、クリスマスディナーは企画がしやすくおすすめです。
企画のポイントとしては、食事だけをメインにせず、カップル同士の交流の機会を作ることです。同じ会場で挙式をした人同士のコミュニティが生まれることは、「また参加しよう」と思う動機付けになります。
3-3.記念撮影プランの提案
自会場に写真スタジオがある場合や、自社でカメラマンを抱えている場合は、記念撮影の提案ができるでしょう。
お子さまが誕生したお客様にはバースデーフォトの提案、こどもの日や七五三など、家族の節目のイベントはお金をかけて写真を残したいと考える方が多いのでおすすめです。
花婚式や木婚式など、結婚記念日に合わせた記念撮影も提案できそうですね。
3-4.保険、住宅、ローンなど
結婚式後のライフイベントを洗い出して、自社やグループ会社のもつリソースを活用することもできます。
保険や住宅、金融商品の案内はすでにブライダル企業でも取り組んでいる事例があります。
3-5.結婚式前の「出会い」に着目した施策
生涯顧客化の考え方は、結婚式後に限ったことではありません。
「日本結婚相談所連盟」に加盟し、結婚相談所の運営をスタートした企業の事例もあります。自会場のレストランや披露宴会場を使った婚活パーティの実施も可能でしょう。
イベント開催で得られる利益だけでなく、そこで出会って結婚するカップルの式場候補になることも期待できます。「結婚前」のフェーズにタッチポイントを作ることは、今後さらに重要になりそうです。
4.まとめ
ブライダル業界を取り巻く現状を今すぐに変えることはできません。しかし、“生涯顧客化”と“生涯顧客価値を高めること”に意識を向け、企業として施策を打っていくことは、売上を向上させていくことにつながります。
企業全体のリソースを使ってできること、自会場でできること、プランナー個人でできること、具体的なイメージは沸きましたか? 今までも日々注力してきたはずの受注や婚礼売上アップ、顧客満足度の向上。 生涯顧客化やLTVの向上は、それらの努力があってこその施策です。 ぜひ、今からでもスタートさせましょう!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!