・ ブライダル 関連企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)をするには何をすればいいの?
・ DX(デジタルトランスフォーメーション)ってそもそも何?
そもそもDXとIT化の違いについて、みなさんは考えたことがありますでしょうか。また、ブライダル業界がDXを進めていくために重要なことは何でしょうか。
今回は株式会社TAIANが提供する「 ブライダル DX対談」の第1回目から、T&Gマーケ責任者が語る、 ブライダル 業界における DX とその実践方法についてご紹介いたします!
ブライダル DX対談 スピーカーのプロフィール紹介
「ブライダルDX対談」の第1回目のスピーカー
執行役員 マーケティング本部長 兼 新規事業企画部長
岩田 能 様
新卒でT&Gに入社後ウェディングプランナーを経て、事業戦略、他企業とのアライアンス、商品開発、基幹システム開発、WEBマーケティングなどに従事し、2017年に新規事業開発部部長に就任。主にLTV(ライフタイムバリュー)事業の開発を行い、装飾レンタル事業、アニバーサリーレストランやママ・マルシェなどのイベント事業、CRMサービス代行事業などを手がけている。
株式会社TAIAN 取締役COO
米倉 元気
新卒でリクルートスタッフィングに入社し、ITエンジニアマーケットを担当。
マネージャーを経て、営業責任者として株式会社TAIANへジョイン。
現在ではCOOとして、ホスピタリティ業界のDX化推進を行っている。コロナ禍での結婚式を経験。
DXとは、顧客側の体験価値を向上させること
ブライダル業界の中で最先端な取り組みをされていらっしゃるT&G(テイクアンドギヴ・ニーズ)さん。その絵を描いていらっしゃる岩田さんに、“ ブライダル × DX ”における取り組みについてお聞きします!
岩田氏:まず“DX”について、私がスタッフにいつも伝えていることは、DXと言う言葉を「デジタル化」もしくは「ウェブ化」「システム化」という言葉に置き換えないように注意しようということです。
ひと昔前からあるIT化という言葉。これは顧客情報や購買情報をしっかりデータ化し、効率化を図ろうという動きのことです。
DXは、このIT化の次の段階のことを指します。
つまり、単にデジタル化をするだけでなく、顧客側の体験価値を向上させようという動きのことを指しています。ユーザー起点で付加価値を乗せようということです。DXとは「デジタル化しましょう」ということではなく、無理やり標語にするとすれば、「CX(顧客体験)をデジタルでやりましょう」ということだと思います。
岩田氏:DXの推進に関して私が気をつけていることは、DXを情報システム部門の仕事にしないということです。
DXの本質は顧客の体験価値を上げることであり、そのための手段としてデジタルを利用するのです。情報システム部門しかり、外部ベンダーの力をかりながら、顧客の体験価値を上げていくことが重要です。
顧客の体験価値を上げるという課題を解決するのはマーケティング部署の仕事になりますが、デジタル化をするためには情報システム部門との連携が必要ですし、そもそもマーケティングの仕事の範囲は広く、さまざまな部署が関わるため、結局DXは全社課題ということになります。
いろいろな部署を横断して顧客の体験価値を高めていくことが、DXにおいて重要なポイントだと考えています。
ありがとうございます!先ほどのお話にもあったように、ターゲットの中にも“Z世代”、つまりデジタルネイティブな人達が増えていく中で、そのマーケットに適したアプローチ手段の1つがデジタル化、という解釈でしょうか。
岩田氏:そうですね。なので社内においても、若い人の気持ちがきちんと分かる、ユーザーと同じ世代のことがわかる“一市民感覚”を持っているメンバーの視点は重要です。加えて、デジタルリテラシー、さらにはシステムリテラシーも必要なのですが、これを一斉に、同じ人に求めることは難しいと考えています。
ですので、若い世代・適齢期人口に値するスタッフからの“一般の声”を聴く→マーケティング部門がそれを“解釈”する→最終的にシステムに落とす、という、横断的なステップが重要なのかなと考えています。
ブライダル 業界における、顧客の声を拾うアンケートの有用性
ありがとうございます!DXを辿っていくと、単にシステム面の課題だけでなく、マーケティングの課題に紐づくというお話がありましたが、マーケティングに関して現場で動いているスタッフに意識してもらっていることはありますか?
岩田氏:顧客の体験価値を上げるために1番有用なデータ・示唆というのは、プランナーの声というよりは直接の顧客アンケートです。
アンケートによって、直接お客様とコミュニケーションをとることができ、そのコミュニケーションをマーケティングの示唆をもった人間が見ることにより課題の発見に繋がります。
実は一対一のコミュニケーションよりも、アンケートの方が課題発見には向いていると思っています。なぜなら、アンケートの方が情報を俯瞰してみたり、逆に寄ってみたりと自由に見方を変えることができるからです。
私たちが実際に行っているアンケートとしては、
・初めての接客を受けていただいた後(ご成約をいただいた方と非成約の方で内容を変える)
・ご成約になった後の打ち合わせごと(5回~6回)
・挙式後
・挙式に参加されたゲストの方
などがあります。
これを集めていくことで、顧客の感情の動きが分かります。
高い期待度をもってご成約され、そのまま満足度が上がっていく方や、何らかの理由があって下がっていく方、または他の人におすすめしたいほど気に入ったとおっしゃってくださる方など、さまざまなパターンがありますが、できるだけ高い満足度を保てるよう、アンケートを有効に活用して課題発見・解決策を生み出せるようにしています。
ブライダル 業界の外にも目を向け、ユーザー感覚を養う
なるほど!私たちも、お客様(ブライダル企業)にDXについて考える機会を持っていただくことが大事だなと考えています。
最近では、DX実現に向けてのご相談を受ける機会も増えてきているのですが、お話をうかがいにいくと、どうしてもシステムというものが先にきてしまい、DXの本質的な目的が考えられていないなと感じることが多いです。
ですので、DXによって顧客体験価値を向上させることができる、そこが本質的な目的であるということを、私たちももっと訴求をしていかないといけないなと思っています。他にも、DXの実現に向け、岩田様が意識されていることや、情報を取りにいっていることがあれば是非教えてください。
岩田氏:そうですね。そもそもマーケティングという言葉自体はとても広く、分解していけば、プロダクトから始まり、金額やプロモーションなどのいわゆる7Pがあります。社内においては、マーケティング担当のスタッフに対して「あなたは●●の担当ですよ」「あなたは■■のパートをお願いします」と役割分担した上で、でも“総力戦である”ということを常々伝えています。
ものすごく宣伝しているけど中身がない、とか、ものすごくいい商品だけどとても金額が高いとか、そういったことでは実をうまないですよね。なので、きちんと縦割りにしたうえで、相互のコミュニケーションをしっかりとらせるような仕組・組織づくりに力を入れています。スタッフには、「専門分野を持ちなさい。かつ、横の人(部署)の仕事に興味を持ちなさい」ということを強く伝えています。
加えて、顧客側に目を向けると、ブライダルだけを購入しているお客様というのはいらっしゃいません。ブライダル契約と同じタイミングで、食料品だったりアプリだったり、さまざまなものの購入体験をしています。
ですので、社員に対しても「ブライダルのことだけを考えているようでは相当不足している」ということを伝えています。業界の外にも目を向けながら、一市民として、いろいろなアプリに接する、リアル・オンラインでショッピングをする、さまざまなモノの買い方に触れる、そして理解を深めていく、ということを意識的に行うように強く求めていますね。
まとめ
そもそもDXとは、単なるデジタル化ではなくIT化の一段階先、顧客の体験価値を向上させるということです。
また、 ブライダル 業界においてDXを進めるためには、現場の課題を把握することが最も重要です。その最も有用な手段の一つとしてアンケートが挙げられ、そこで吸い上げた顧客の声をどう“解釈”していくかが、DX推進に向けた1つのカギであるのかもしれませんね。
「 ブライダル DX対談」の第1回目動画はこちらよりご視聴いただけます。
ブライダル 業界のDXについて熱く語っておりますのでぜひご覧ください。今回の記事が、みなさまのDX推進の一歩として役立てば幸いです。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました!